“橋下知事の実像にふれた府民は変化している”
署名とアンケートで、ていねいな対話と宣伝を
「明るい会」は10月1日、常任幹事会を開き、府政をめぐる情勢と府民運動を討議。訪問活動で、従来つながりの薄かった団体からも、「橋下府政は“ひどい”“あかん”という声が噴出し、こちらの方が驚いた」ことが交流されました。学習を力にして、「国保・子ども」署名、府民アンケート運動をいちだんと強め、府民と対話し、情勢を変えていく主体的とりくみの重要性を確認しました。討論の大要を紹介します。
府政をめぐる情勢と府民運動について
○統一地方選挙にむけた情勢
9月15日、橋下知事を代表とする大阪維新の会は、政治パーテイを開き、来春の統一地方選挙に擁立する新人ら33人と現職49人を含めて計82人の1次公認を発表しました。維新の会は今後、50人近くを追加公認する方針で早ければ11月にも発表するとしています。(9月16日付産経)
8月末からの維新の会のタウンミーテイングは、橋下知事が、どこでも「ワン大阪は必要」とアピール。「関空をハブ空港化したい。アクセスをよくするためにリニアを通したい。アジア・世界の都市との競争する上でも、大阪市があるとダメ」とくり返しています。会場から、「息子の給料が下がり、生活が大変」「橋下知事を支持しているが、カジノ誘致や大企業誘致はいかがと思う」という疑問もでていますが、「ワン大阪についての質問に限る」といって、聴衆の疑問には答えず、「ワン大阪で大阪・日本を変えたい」だけを声高に主張しています。すでに地方選候補者との連名ポスターを貼り出されている地域もあります。
維新の会に入った自民党籍を持つ府議、大阪・堺市議計39人と、来年の統一地方選挙に維新の会公認で立候補する新人6人の計45人が自民党府連に離党届を提出。自民党は、党籍を持つ府議と両市の半数近くを失いました(9月28日付読売)。府連会長である谷川秀善参院議員は、「私も大阪都には賛成」「橋下知事も自民党が大阪都構想をすすめてくれるなら、問題ない」と述べています。維新の会への移行は、保身のためのくら替えにすぎず、そこには府民のくらしを守る府政のあり方などを考える姿は微塵もなく、財界が推進、要望している道州制・関西州による大型開発・産業基盤整備への税金投入をすすめようとする点ではまったく同じです。
みんなの党は、枚方市議3人が会派を結成(9月11日付毎日)、堺市議が会派を結成(10月1日付産経)するとともに、みんなの党として維新の会と統一地方選で連携していく考えを表明しています(10月1日付産経)。
いずれも、府民のくらし、地方自治を破壊する突撃部隊としての維新の会をはじめとする自民・みんなの党等の主張は、全国的にも突出している府民のくらしの危機の深刻さにどう応えていくのかを示すことができないものです。
統一地方選挙にむけ、「産業基盤整備を受け持つ広域自治体(大阪都)」と「住民に身近な仕事を受け持つ基礎自治体(市区町村)」が「役割」を分離する「橋下改革」では、大阪の再生につながらないことを暴くとともに、府民の願いに応える府政を求める運動を強めることが重要になっています。
○ 「府財政構造改革プラン」をめぐって
「府財政構造改革プラン(素案)」に対するパブリックコメント(8/5~9/3)への意見提出者は3335件(団体等含む)、意見数は3363件でした。これを受けて、大阪府は「府民の意見と府の考え方」を示し、9月14日の府戦略本部会議で「素案」を一部変更した「財プラ(素案・9月版)」を確認しました。
「財プラ」の基本的な性格・内容に関わる変更はされておらず、「私学助成・授業料支援補助金の拡充」は、「さらなる見直し」を「検討」に変更し、「授業料支援補助金の拡充財源を私学助成金全体のさらなる見直しで全額賄うものでないこと」に修正、「大阪市地下鉄整備促進費」については、「地下鉄転落防止可動柵は別途検討すること」を明記などの変更がされています。
府職員の人件費抑制について、「財プラ(素案・8月版)」では人件費削減「270億円」とされていたのが、労働組合への人件費削減提案(9月)では「350億円」とされ、「私学への助成」の財源が「理由」とされました。これは「新たな施策と人件費を天秤にかけて議論していくというのは、本来すべきでない」(9/14府戦略本部会議・総務部長)と言う意見があったにも関わらず、橋下知事の指示で「350億円」削減で交渉にのぞむことになったものです。府職員、教職員間には激しい憤りが広がっており、府民と職員との「分断策」を乗り越える共同の運動を広げることが必要となっています。
○ 9月府議会について(9月22日から開会)
9月議会は、来春の統一地方選を前にして、全国に突出した府民の「貧困と格差」の拡大をどう認識し、どう対応するのか、また「成長戦略」の名による開発偏重の失敗をくり返すのかが問われ、各党会派の主張、役割が押し出される議会となります。
関西広域連合設立議案、府議定数削減をはじめ、88件に及ぶ議案が提案されています。
○ 府民運動の広がり
【企業の「制度融資」をめぐって】
大商連と各民商は、9月議会に向け「制度融資の縮減反対」の団体署名の申し入れに精力的にとりくみ、地域の商店会、業界団体からも、これまでにない大きな共感が生まれています。
日本共産党府委員会も府商工会議所、府中小企業団体中央会、府商店街連合会、府商工会連合会の4団体を訪問し、中小企業の経営の実情等についてつっこんだ懇談を実施(10月3日付大阪民報)。特徴は、橋下府政に対する批判が驚くほど噴出していること。「商店街の開店率が5割を切ると助成がなくなる」「町工場はもうからないから後継者を作れない。サラリーマンの方が、給料が高いから店を継がない。店もきれいにしなくなる。悪循環だ」「元気な企業を応援することだけが行政の役割ではない。不況に耐えているところでも、労働者の雇用で社会に貢献していることに目をむけて欲しい」「橋下知事の大阪都構想は、自分のやりたいことをやるための構想。府民の暮らしがどうなるかの説明はまったくしていない」などの声が出されています。
【府営住宅半減をめぐって】
「府営住宅削減に反対する連絡会」も9月府議会に向けた団体署名は100を超えて集約。11月19日に学習交流集会を予定しており、個人署名のとりくみも検討しています。
【国保「広域化」をめぐって】
「国保『広域化』・値上げに反対し、大阪の国保を守る実行委員会」(9/16結成)も第1回実行委員会を開催。今後、府下地域ブロック・行政区での学習会開催と府民連署名の推進、国保パンフやビラの作成、9月府議会休会中には府(国保課)ヒアリングや来年2・3月市町村議会にむけて行政区ごとの運動を構築できるよう議論しています。
【明るい会女性連絡会の学習会と申し入れ活動】
9月17日の学習会(京都大学岡田教授講演)に先立ち、交流を広げようと団体訪問を行いました。ある官製女性団体は、「補助金削減に怒っている」と学習会に参加してくれました。
シングル・マザーズ・フォーラムでは、子育て支援、1人親支援で話がはずみ、「橋下府政は、児童虐待問題で『通報』を強調しているが、そのため親たちは、子どもが泣くと『通報されるのでは』とピリピリしている。『通報』ではなく、もっと『支援』を考えて欲しい」と要求がだされるとともに、「私たちは東大阪で、親子を対象にした映画会を開き、炊き出しもして、『子どもはタダやで』と食事を提供。昼に参加した子どもが、夜には兄弟を連れて参加している。こんな活動を各地でやりたい」と話されました。府民連の署名への協力も約束してくれました。
9割が非正規労働者で組織するS労組(連合加盟)では、「先日の大阪最賃審議会での大阪労連・大教組の教員の証言に感動した。私の思いを全部語ってくれた」と、訪問した団体で、大いに話が盛り上がったことが紹介されました。
【教職員定数をめぐって】
大教組は、秋の運動を、①対政府にむけて「教職員定数」問題で30数年ぶりにメドが見えつつある「35人学級」実現に力を集中する、②国の動きに逆行する橋下府政の教職員定数削減に対し、その異常ぶりを浮き彫りにする運動の強化を意思統一し、PTA協議会や校長会にも働きかけて署名を推進しています。
【府職員、人件費大幅削減をめぐって】
府労組連は、理不尽な大幅人件費削減提案に対し、府民の理解と支持を訴えようと、街頭宣伝行動や職員署名、“怒りの一言”集約。府的団体や民間労組に府民連署名とともに申し入れを行い、10月21日にクレオ大阪中央で決起集会を計画しています。
【団体・地域での府政問題学習会の広がり】
各団体や地域で府民連、府職労が講師となった府政問題学習会が開催され、7月末以降参加者は900人を超えています。「府財政が危機だから、我慢が必要」「府と大阪市の二重行政の問題などをもっと解明してほしい」といった意見や疑問に応える宣伝資料集を作成します(11月中旬をメド)。
明るい会作成の「学習討議資料」に対し、「いいものを作ってくれた。ミニ学習会をどんどんセットしていく」「もっと増刷してくれないか」「全教の先生から、教師不足の話を聞いて、人員削減に腹がたった。みんなに知ってもらいたいから大きな学習会をしたい」といった声も寄せられています。
府民アンケートについては、「住民アンケートの項目に、『明るい会』のアンケート項目を入れる」(共産党西淀川此花地区)、「大会や会議でアンケートを配布し、その場で回収している」(大阪労連)など、地域や団体内での具体化も始まっています。
団体内やつながりを活かした小集会などでは、「大阪府への要求がなかなか出にくい」「要求しても、こんな厳しい情勢では難しいのでは」といった声も少なくないという状況も報告されています。新婦人では、紙芝居を使って、ちょっとしたつぶやきも取り上げて、運動につなげていこう、要求やくらしの状況を気軽に出せる工夫をしようと話し合われています。
【要求を入り口に対話し、橋下府政の実像伝えよう】
「地域主権」を叫びながら府の独自施策は縮小・廃止するという「府財プラ」は、府民の願いに逆行するものであり、大阪経済をいっそう深刻化させ、壊すものです。「財プラ」の中身を知れば、橋下府政への大きな怒りと批判が広がるのは、先述の通りです。
「秋の大運動」で、学習討議資料、「国保・子ども署名」「府民アンケート」を使って、学習・対話・宣伝のテンポをあげていくことが重要です。「府民のくらしをよくしてほしい」「福祉・教育を充実させてほしい」の要求にたちはだかる障害が橋下府政であることを、わかりやすく語り、共同の輪を広げることが、府民本位の府政めざす取り組みの展望を切り開いていくことになり、同時にそれは、私たち自身の運動にかかっています。
「明るい会」の当面のとりくみについて
(1) 「国保・子ども署名」、学習討議資料、のぼりを活用して、大阪のすみずみで学習と宣伝署名行動を。幅広い団体への申し入れ、懇談もすすめます。
(2) 講師養成講座について。府民連・市対連が講師要請講座を計画しています。協力して成功させます
日時:11月11日(木) 18:30~ 【無料】
場所:エルおおさか 708号室
講師:黒田まさ子府議、瀬戸一正大阪市議
主催 府民要求連絡会、大阪市対策連絡会議
「講座」の内容を冊子にして、団体・地域で活用します。
(3) 地域宣伝行動の実践例を積み上げる。当面、毎月1行政区をメドに巡回宣伝をすすめます。これらを通じて、「明るい会」地域連絡会の再開を促進します。
(4) 明るい会・ビラ版下(10月版)、スポット原稿は、遅くとも10月12日中に団体・地域に届くようにします。
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