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「府民連ニュース」10年4月15日号

「思想、良心の自由といっている場合じゃない」?
橋下知事の憲法蹂躙発言に抗議相次ぐ

 4月1日、橋下徹知事は府庁の新規採用職員の任命式で「思想、良心の自由といっている場合じゃありません」「日本国家の公務員ですから歌うことは義務」などと発言しました。憲法蹂躙の発言に対し、大阪母親大会連絡会、大阪府職労がそれぞれ抗議要請書を橋下知事に提出しました。要請文は以下のとおりです。

大阪母親大会連絡会

大阪府庁の知事部局の新規採用任命式での
「思想、良心の自由といっている場合じゃない」
発言の撤回と謝罪を

 4月1日、大阪府庁の知事部局の新規採用137人の任命式で、君が代斉唱などのあと、橋下知事は「思想、良心の自由といっている場合じゃありません。国家・国民が意識してもらうため、今後事あるごとに国家斉唱を求めていきたい」と訓示しました。君が代斉唱は知事の指示で今回の任命式から始められました。知事は「君が代を歌えましたか。歌詞わかってますか」と新入職員に問いかけ、「僕が感ずるところ、まだ声が小さい。日本国家の公務員ですから歌うことは義務。しっかりお願いします」と語ったそうです。
 憲法19条には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と明記しています。橋下知事は知事であると同時に弁護士でもあります。憲法を遵守し模範を示すべき人が、新規採用の任命式で憲法を真っ向から否定することは許されません。
 ただちに「思想の自由言ってられない」発言を撤回・謝罪し、思想・良心の自由を守る立場にたって行政をされるよう強く要望します。

大阪府職労(大阪府関係職員労働組合)

橋下知事の憲法蹂躙発言に抗議し、
撤回を求める要請書

 橋下知事は、4月1日の新規採用職員入庁式で、これまで大阪府としては例のない「君が代」斉唱を求めました。斉唱後には、「声が小さい」「思想、良心の自由とか言っている場合ではない」「日本国家の公務員として、国歌はきちんと歌うのが義務」と訓示しました。また、3月には、東寝屋川高校卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったという理由で、3名の教諭の処分がはじめて大阪府教育委員会から発表されました。 
 大阪府知事、大阪府教育長から「君が代」斉唱にかかわる強制や強権的処分は、看過できるものではありません。
日本国憲法は、侵略戦争の反省のうえにたち主権在民、基本的人権の尊重が謳われ、憲法第19条で「思想および良心の自由は、これを侵してはならない」と個人の思想信条の自由は明確に保障されています。また、橋下知事は「国歌はきちんと歌うのが義務」と発言していますが、99年8月に施行された国旗・国歌法の条文は、第1条で「国旗は、日章旗とする。」第2条は、「国歌は君が代とする。」というだけの法律であり国歌を国民が歌う義務の規定などはなく、背景には橋下知事の政治的意図があらわれています。「君が代」を歌う、歌わないは、個人の内心の自由であり、強制することは内心の自由をも侵害するものです。
橋下知事は、憲法を遵守すべき大阪府を代表する知事です。公務員には、思想信条の自由がないかのような発言は、見識を疑う以前の問題であり、強大な権力を振るう恐怖政治そのものです。
私たちは大阪府に入庁し、地方自治法に明記されているように府民福祉の向上めざし日夜奮闘している大阪府の職員です。戦前の天皇制のもとでは、都道府県は国家のもとに置かれ、職員は官吏として国家に仕える役人とされていました。しかし、戦後、地方自治法が制定され、地方自治体は、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担うことが規定されました。「国家のもとで仕事をしている」ものでないことは明らかであり、地方自治の形骸化と戦前に逆戻りさせる危険な発言といわざるを得ません。
府職労は、入庁式での一連の知事発言の撤回と「君が代」斉唱に抗議するとともに、今後「君が代」斉唱の押し付けを行わないことを強く要求します。

【参考資料】

★日本国憲法(抜粋)

【第一一条】
 国民は、すべての基本的人権の享受を妨げられない。
【第一三条】
 …すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
【第一九条】
 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
【第九七条】
 この憲法が日本国民保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
【第九八条】
 この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力を有しない。…
【第九九条】
 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。

★国旗及び国歌に関する法律(国旗・国家法)全文

第1条 国旗は、日章旗とする。
第2条 国歌は、君が代とする。
附則 施行期日の指定、商船規則(明治3年太政官布告第57号)の廃止、商船規則による旧形式の日章旗の経過措置。
別記 日章旗の具体的な形状、君が代の歌詞・楽曲。

(*)この法律にも「義務」とは書いていません。

★国旗・国家法制定をめぐる国会審議から

起立・斉唱する自由もあれば、起立・斉唱しない自由もある(野中広務官房長官・当時)

「人によって、式典等においてこれを、起立する自由もあれば、また起立しない自由もあろうと思うわけでございますし、斉唱する自由もあれば斉唱しない自由もあろうかと思うわけでございまして、この法制化は画一的にしようというわけではございません」
(1999年7月21日、衆院内閣委・文教委連合審査会)

義務づけを考えていない(小渕恵三首相・当時)

「法制化に際し義務づけを行わなかったことに関する政府の見解についての、お尋ねでありました。御指摘の政府見解は、政府としては、今回の法制化にあたり、国旗の掲揚等に関し義務づけを行うことは考えておらず、したがって、国民の生活に何らの影響や変化が生ずることとはならないと考えている旨を明らかにしたものであります」
(1999年6月29日、衆議院本会議)

教員・公務員が内心の自由に従って行動するのは「やむを得ない」(有馬朗人文部大臣・当時)

「教育公務員として、あるいは教員として、地方公務員としての制約はございますね。ですから、その制約と、ご自分の、教員一人一人が持っている内心の自由、今その両方の関係をご質問だと思うけど、どの人が仮に自由で何かをしたくなかったときに、その人が最終的に内心の自由でしないと言うことは、それはやむを得ないとおもいます」「制約と申し上げているのは、内心の自由であることをしたくない教員が、他の人にも自分はこうだということを押し付けて、他の人にまでいろいろなことを干渉することは許されない」
(1999年8月4日)

★天皇裕仁さんも

強制になることではないことが望ましい

2004年10月28日園遊会の席上、ある東京都教育委員が、「日本中の学校で国旗を揚げ、国家を斉唱させることが私の仕事でございます」と話しかけた際、天皇は「やはり、強制になることではないことが望ましい」と答えたと報じられています。

(以上「府民連ニュース」2010年4月15日号)

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